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青柳いづみこが1925年製E型ベヒシュタインで奏でた『ドビュッシーの夢』

青柳いづみこのドビュッシー

ドビュッシー研究の第一人者、青柳いづみこによる
ドビュッシー没後100年記念アルバム第2弾!

ピアニストとしてだけではなく執筆や教育の分野でも活躍している青柳いづみこが、ドビュッシー没後100年の記念アルバム第2弾として『ドビュッシーの夢』と題したアルバムを発表します。

(1)選曲
彼女らしく、たいへん凝っています。『前奏曲集第1巻』は1996年以来の再録音となりますが、カップリングに表題曲の『夢』と、ドビュッシーを尊敬していたコダーイによる『ドビュッシーの主題による瞑想曲』、そしてカプレがピアノ編曲した『聖セバスチャンの殉教』が選ばれています。コダーイの曲は録音の少ないものですが、それ以上に『セバスチャンの殉教』のピアノ版はレアで、現在入手しやすいのは、ワーナーの『ドビュッシー作品全集』(33枚組)に入っているエマールの演奏くらいだと思います。この曲がアルバム冒頭に収められ、しかもたいへん美しい曲であり、演奏なので、聴き手はすぐにこのアルバムの魅力に惹きこまれることでしょう。

(2)使用ピアノ
1925年製E型ベヒシュタインを使用しています。ベヒシュタインはドビュッシーが所有していた3台のピアノのうちの一つのメーカーであり、彼は「これらベヒシュタインの5つの鍵盤は、すべての音楽を含んでいる」と称賛していたそうです。青柳いずみこは、録音用の楽器を探しているときに、このピアノに出会い、指弾したところ「すべての表現があるべき方向を指し示しているような不思議な感覚に襲われた」とライナーノーツの中で述懐しています。ドビュッシーのピアノ曲の複雑なテクスチュアを弾き分ける上で、ベヒシュタインは絶妙のバランスを実現できる、とのことです。

実際、録音を聴くと、時代楽器にときおりみられる反応の悪さや音色の鈍さは全くなく、強いアクセントや早いパッセージでは敏感に反応し、切れ味や鋭さを感 じさせ、弱音や緩やかな場面では非常に味わい深い、幅広い音色を発しています。つまり製造が古いだけで、まったく現役の瑞々しい響きを有したピアノなので す。

『セバスチャンの殉教』のピアノ版が魅力的に響くのは、「百合の庭」のアルカイックな雰囲気、「魔法の部屋」の色彩美と運動性、「受難」の不気味な低声と 妖しい輝きを放つ高声、といった多様な表情が、この楽器により完璧に表現できているからだと思います。また、『前奏曲集』では、最も緩急が激しく、音色や 音触が目まぐるしく変化する「アナカプリの丘」を聴けば、いかにこのピアノがドビュッシーや青柳いづみこのイメージを実音として表現できているかが理解で きるでしょう

(3)ジャケット
ベルギー象徴派の画家、フェルナン・クノップフ(1858~1921)の名作『I Lock My Door Upon Myself 私は私自身に扉を閉ざす』(1891年)が掲げられています。ドビュッシーは「印象派」ではなく「象徴派」である、とのピアニストの思いが込められているようです。
(タワーレコード 商品本部 板倉重雄)

青柳いづみこ
ピアニスト。東京芸術大学、同大学院博士課程修了。フランス国立マルセイユ音楽院首席卒業。安川加壽子、ピエール・バルビゼに師事し、フランス留学から帰国した1980年に初リサイタルを開いた。以来、フランス音楽を中心に独自のリサイタルを毎年開催し、ドビュッシー・シリーズと銘打ったコンサートも7回にわたって繰り広げてきた。一方、文筆活動にも意欲を抱き、パリで研究を重ねた後、1989年、芸大の大学院での論文「ドビュッシーと世紀末の美学」によって、フランス音楽の分野で初めての学術博士号を授与された。1999年には『翼のはえた指ーー評伝安川加壽子』で第9回吉田秀和賞を受賞し、祖父青柳瑞穂の評伝『真贋のあわいに』では日本エッセイスト・クラブ賞を受賞するなど、執筆の分野でも活躍中である。
(音楽出版社)

ドビュッシー
聖セバスチャンの殉教 (A.カプレによるピアノ編曲版)
01.百合の庭
02.法悦の踊り
03.魔法の部屋
04.受難
05.傷つけられた月桂樹
06.よき羊飼い

ドビュッシー
07.夢

コダーイ
08.ドビュッシーの主題による瞑想曲

ドビュッシー
前奏曲集第1巻
09.デルフの舞姫たち
10.帆
11.野をわたる風
12.音と香りは夕暮れの大気に漂う
13.アナカプリの丘
14.雪の上の足跡
15.西風の見たもの
16.亜麻色の髪の乙女
17.とだえたセレナーデ
18.沈める寺
19.パックの踊り
20.ミンストレル
【演奏】
青柳いづみこ(ピアノ)
【録音】
2018年1月24-26日、相模湖交流センター

使用楽器:ベヒシュタインE型 1925年製
ジャケット:フェルナン・クノップフ(1858~1921)
『I Lock My Door Upon Myself 私は私自身に扉を閉ざす』(1891年)

カテゴリ : ニューリリース

掲載: 2018年04月26日 00:00