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カンニバル・コープス(Cannibal Corpse)、14枚目のスタジオ・アルバム『レッド・ビフォー・ブラック』

Cannibal Corpse

カンニバル・コープスはアメリカのデス・メタル・バンド。というよりも、彼らはデス・メタルというジャンルそのもののような存在である。フロリダのシーンの一員という印象が強いが、もともとはニューヨークのバッファロー出身。88年、アレックス・ウェブスター(Ba)、クリス・バーンズ(Vo)らによって結成された。翌89年にバンド名を冠したデモを発表後、即名門Metal Blade Recordsとサインというスピード出世を果たす。そして90年にデビュー作『Eaten Back to Life』がリリースされるやいなや、カンニバル・コープスはデス・メタル界に突如現れた新星として、世界中のファンから崇めまつられた。それもそのはず、とにかくこのアルバムのインパクトは絶大であった。アート・ワークや歌詞は、ドイツをはじめとするいくつかの国で本作が発禁処分となったのも当然の、異常なまでのグロテスクぶり。一切感情を見せないクリス・バーンズのヴォーカルも、過去には誰も聴いたことのないものだった。すでにDeathやMorbid Angel、Obituaryを知っていたデス・メタル・ファンも、このまったく新しい世界観には驚愕せざるをえなかったのである。
彼らの登場により、デス・メタルはさらに一段上のブルータリティを獲得したのだ。『Butchered at Birth』(91年)、『Tomb of the Mutilated』(92年)、『The Bleeding』(94年)とリリースしたところで、バンドはデス・メタルの聖地、フロリダへと移住。95年にはクリス・バーンズを解雇し、Monstrosityのジョージ・コープスグラインダー・フィッシャーを加入させる。その後も彼らは順調に活動を継続。14年の『A Skeletal Domain』まで、トータルで13枚のスタジオ・アルバムを発表している。そのいずれも「デス・メタル」としか形容しようのない、一切のブレのないスタイル。1枚の例外すらない。カンニバル・コープスは、30年にわたりデス・メタルというジャンルにプライドを持ち、シーンを牽引し続けているのだ。
そして今回、スタジオ・アルバムとしては14枚目となる『レッド・ビフォー・ブラック』が、ここ日本でも発売となる。内容については言うまでもない、デス・メタル、いつものカンニバル・コープスである。「スローでドゥーミーな要素の導入」という新構想もあったようだが、やはりどう聴いてもいつものカニバル・コープスだ。ヘヴィでタイトでブルータル。音楽から歌詞、アートワークに至るまで、一切の不純物のない血まみれのデス・メタル。カンニバル・コープスが、ファンの期待を裏切ることなどあるはずがない。彼らは骨の髄までデス・メタル・バンドなのだ。
興味深いのがカバー集であるボーナス・ディスク。メタリカ、アクセプト、クリエイターといった大御所から、ポゼッスト、サクリファイス、レイザーといった往年のスラッシュ・メタル・バンドの名曲たちが、さまざまな方法で料理されている。ポゼッストなどはヴォーカルも含めかなりオリジナルに忠実に再現されているのに対し、メタリカやアクセプトは、完全にカンニバル・コープス化させられているのが面白い。ジ・アキューズドが取り上げられているのも、実に興味深い。シアトル出身、その筋では有名なクロスオーバー・スラッシュ・バンドだが、カンニバル・コープスのイメージとはすぐには結び付かない人も多いだろう。だが、アレックス・ウェブスターによれば、非人間的デス・ヴォイスを完成させる以前のクリス・バーンズは、ジ・アキューズドのBlaine Cookのようなスタイルだったというのだから、ジ・アキューズドもカンニバル・コープスにとって、大事なルーツの1つなのである。『レッド・ビフォー・ブラック』には、30年間迷うことなくデス・メタルの番人であり続けた彼らの誇りが詰まっている。彼らこそ、デス・メタル界のモーターヘッド、ラモーンズ。デス・メタルが聴きたければ、カンニバル・コープスを聴けば良いのである。

 

 

 

タグ : ハードロック/ヘヴィメタル(HR/HM)

掲載: 2018年02月27日 12:21

更新: 2018年03月01日 11:30