スティーヴ・ジャンセン、9 年振りのニュー・アルバム

1970年代末から80年代初頭にかけて日本でも絶大な人気を誇った元ジャパンのスティーヴ・ジャンセン。2015年、かねて交流の深い高橋幸宏のプロデュースによる初の写真集を発表し、話題となった。彼が実兄であり、同じく元ジャパンのデイヴィッド・シルヴィアンと共に設立したレーベル、サマディサウンドからリリースした初のソロ・アルバム『スロープ』以来、じつに9年ぶりにリリースするニュー・アルバム。
『スロープ』よりもいくぶん内省的ながらも、緻密に構築された音世界は健在。ともに前作に続いての参加で、ともにサマディサウンドからアルバムをリリースしているトーマス・ファイナーとティム・エルセンバーグ(スウィート・ビリー・ピルグリム)の二人に加え、ニコラ・ヒッチコック(元マンダレイ)らがゲスト・ヴォーカリストとして参加。各人各様の歌声で楽曲を彩っている。チェロの徳澤青弦(anonymass、Throwing a Spoon)が参加したインストのM4 も美しく味わい深い。滋味深く感動的な、ジャンセン一流の美意識に貫かれた傑作である。すばらしい。
掲載: 2016年06月16日 10:38