I.ファウスト&メルニコフ~ブラームス:ヴァイオリン・ソナタ第2,3番&F.A.E. ソナタ

快進撃がとまらないイザベル・ファウスト。次なる新譜は、こちらも充実著しい盟友、アレクサンドル・メルニコフとのコンビによるブラームス&シューマンです。
このブラームス&F.A.E.ソナタのプログラムは、2014年6月に日本でも公演があり、大きな話題となりました。既にファウストとメルニコフはブラームスのヴァイオリン・ソナタ第1番を録音しており(HMC901981(現在廃盤)。この時の録音でも同じベーゼンドルファーが用いられました)、これでファウストとメルニコフはブラームスのヴァイオリン・ソナタを全曲録音したことになります。
第3番の冒頭から、ファウストの振幅の大きな歌にメルニコフもぴたりと応えた最高のアンサンブルが展開されています。ファウストが奏でる音楽は非常にやわらかで優しく、強弱や音色の幅も非常に豊か。そんなファウストにぴたりと寄り添うようにメルニコフが奏でるベーゼンドルファーの音色も、いぶし銀のような音色から輝かしいものまでその幅広さに驚かされます。また、強弱の幅も実に豊かで、モダンのピアノよりも劇的に感じる瞬間もあるほど。ファウストとメルニコフ、充実著しいアーティストたちの作品に対する愛情と思いがつまった1枚となっています。
F.A.E.ソナタについて
F.A.E.ソナタは、1853年、当時の大ヴァイオリン奏者、ヨーゼフ・ヨアヒムのために3名の音楽家が共作をしたソナタ。3名とはブラームス、シューマン、そしてアルベルト・ディートリヒ(1829-1908)。1851年、ディートリヒはデュッセルドルフへ赴き、シューマンを囲むグループに受け入れられ、ブラームスとも親しくなります。ディートリヒは指揮者として活躍しており、そして生前はシューマンの後を継ぐ作曲家として名を馳せていました。ヨアヒムとこれら3名の関係は、それぞれの作品をヨアヒムが演奏するなどしていたということ。F.A.E.とはヨアヒムがモットーとしていた「Freiabereinsam(自由に、しかし孤独に)」の頭文字をとったもので、この3つの音に基づいて作曲がされています。第1楽章のアレグロはディートリヒ、第2楽章インテルメッツォがシューマン、第3楽章スケルツォはブラームス、そして第4楽章フィナーレはシューマンが受け持っています。このソナタが出版されたのは1935年になってからのこと。このファウストとメルニコフの演奏は、作品の真価を問う、充実の演奏となっています。


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【収録曲】
1.ブラームス:ヴァイオイン・ソナタ第3番 ニ短調 op.108 [21:07]
2.シューマン:3つのロマンス op.94 [11:18]
3.ブラームス:ヴァイオリン・ソナタ第2番 イ長調 op.100 [19:00]
4.ディートリヒ/シューマン/ブラームス:F.A.E.ソナタ [26:17]
【演奏】
イザベル・ファウスト(ヴァイオリン / 1704年製ストラディヴァリウス「スリーピング・ビューティ」)
アレクサンドル・メルニコフ(ピアノ / 1875年製ベーゼンドルファー(メルニコフ所蔵))
【録音】
2014年9月
カテゴリ : ニューリリース
掲載: 2015年07月10日 17:43