フォルテピアノ界の重鎮シュタイアーが奏でるシューマン第3弾!~『アベッグ変奏曲』から『精霊の変奏曲』まで

アンドレアス・シュタイアーが、シューマン・ピアノ作品集の第3弾となるアルバムを録音しました(第1弾はシューマン:『子供の情景』(廃盤)、第2弾はピアノとヴァイオリンの作品集(廃盤))。今回シュタイアーは、作品1の『アベッグ変奏曲』に始まり、最晩年の精神病院に入る直前の作品『主題と変奏(精霊の変奏曲)』(遺作)で終わるというシンメトリックなプログラムを組んでいます。
前半の2作品は、若きシューマンの詩情ときらめきに満ちた演奏。アベッグ変奏曲冒頭の主題提示の豊かな詩情とやさしい音色にまず引き込まれます。幻想小曲集も、各曲の性格の描き分けも鮮やかに、シュタイアーの語りを聞いているような気分になる演奏です。時を隔てて作曲された続く後半2作品は、ぐっと深みが増し、ときに不安定でもある和声や、彷徨っているような旋律も耳に残る曲。シュタイアーの非常にやわらかい語り口は、アベッグ変奏曲のころから様々なことに見舞われ疲れ切ったシューマンをいたわるかのよう。と同時に、聴き手にシューマンの言葉(詩)を代弁してくれているようでもあります。エラールのフォルテピアノのあたたかな音色と、ペダルを使ったときに際立つ豊かで優しい響きも完ぺきにコントロールしながら、シュタイアーが優しさに満ちたシューマンの世界を展開しています。
(キングインターナショナル)

【収録曲】
シューマン:
・アベッグ変奏曲 op.1
・幻想小曲集 op.12
・3つの幻想的小曲 op.111
・主題と変奏 変ホ長調 ~最後の楽想による幻覚の変奏曲(精霊の変奏曲)
【演奏】
アンドレアス・シュタイアー
(フォルテピアノ 1837年エラール製、エドウィン・ボインク・コレクション)
【録音】
2013年2月 テルデックス・スタジオ・ベルリン
カテゴリ : ニューリリース
掲載: 2014年09月18日 14:42