注目アイテム詳細

ホルヘ・ボレット生誕100年記念/RCA & CBS コンプリート・アルバム・コレクション

ホルヘ・ボレット生誕100年BOX

今年生誕100年をむかえるキューバ出身の名ピアニスト、ホルヘ・ボレット(1914-1990)。彼は超絶技巧ピアニストとして知られるゴドフスキーの弟子であり、その素晴らしい技術を直接受け継いだ名手として広く知られています。
この10枚組ボックスは、ボレット生誕100年を記念して、彼が1958年から1974年にかけてのRCAへのソロ録音(一部はスペインEnsayo原盤で、アメリカではRCAが発売)に加え、1978年と1983年にCBSに録音した2枚の室内楽録音を集成したものです。
ボレットは1914年ハヴァナ生まれ。20世紀初頭の「ピアニストの黄金時代」だったアメリカのカーティス音楽院で学び、ゴドフスキー、ホフマン、ローゼンタールらに薫陶を受ける。1937年にニューヨークでデビュー・リサイタルにはラフマニノフ、ホロヴィッツ、エルマン、ピアティゴルスキーらが駆け付けたといわれています。その直後にオーマンディ指揮フィラデルフィア管弦楽団とラフマノニフのピアノ協奏曲第3番を演奏、作曲者自身やホロヴィッツと何度もこの難曲を取り上げていた同管のメンバーやそうした演奏に接していたフィラデルイアの聴衆から絶賛を浴びました。
1939年から母校カーティス音楽院で教鞭をとり(ルドルフ・ゼルキンのアシスタントをしていたことも)、米軍に入隊した際は、GHQの一員として日本に派遣され、ここでは指揮者としてギルバート&サリヴァンのオペレッタ「ミカド」の日本初演を指揮したことでも知られています。またフランツ・リストを主人公とした1960年公開の映画『わが恋は終わりぬ』(ダーク・ボガード主演)では「リスト弾き」の名声を生かし、サウンドトラックでリストの作品を演奏し、注目を浴びました(当ボックスのCD1[リスト:超絶技巧練習曲9曲]がLPで発売されたのとほぼ同時期)。
1970年代には、アメリカでカルト的な人気を獲得し、RCAはスペインEnsayo原盤のリスト・アルバム(CD2,4,5)をアメリカでライセンス発売すると同時に、1972年から1973年にかけてセッション録音を実施し、そのうちラフマニノフのトランスクリプション集(CD3)を発売。さらに1974年2月25日にカーネギー・ホールで行われたリサイタル全曲をライヴ収録・発売しています(CD6,7)。このカーネギー・ホール・ライヴは、ショパンの「24の前奏曲」のほかは、超絶技巧を駆使した演奏難度の高いトランスクリプションや編曲ばかりが選ばれており、今でも「20世紀最高のピアノ演奏録音の一つ」に数えられているほどです。
また彼としては比較的珍しいフランクやショーソンの室内楽作品(CD8,9)も聴き所で、ジュリアード弦楽四重奏団と創り上げた濃密な音楽は、これまで多くの人が認識していたボレットの姿とはまた違う面を見ることができる、興味深い記録となっています。
ボレットはこの後、1980年代にDECCAにリスト作品を中心とする数多くの録音を残していますが、当ボックスはそれ以前の心技体ともに全盛期にあった名ピアニストが持てるパワーのすべてを出し切った名演が収められているのが聴きものです。
これまでソニークラシカルが発売してきたアーティストごとのアルバム・コレクション同様、オリジナルLPジャケットのデザインによる紙ジャケットを使用し、詳細なデータや写真が掲載された別冊解説書が添付されており、この20世紀ピアノ演奏史に屹立する巨人ピアニストの演奏を辿るにはうってつけの愛蔵版コレクションとなっています。
【特長】
1.ボレットの未公開写真多数とピアノ演奏史に詳しいイギリスのジェレミー・シープマンによるライナーノーツ(英語/フランス語/ドイツ語のみ)を掲載した50ページのオールカラー別冊解説書付き
2.各ディスクごとに録音データ、マトリックス番号、初出LP番号などの詳細なデータを記載
3.各ディスクはUS初出盤のLPデザインを使用した紙ジャケットに封入
4.CDレーベルは発売当時のLPデザインをもとにしたデザインを採用
5.クラムシェル・ボックスに収容24bit/96kHzリマスタリング
CD1:世界初CD化
CD1,3,6-8:RCAのオリジナル・アナログ・マスターからの新規24bit/96kHzリマスタリング
CD2,4-5:Ensayoのデジタル・マスターをもとに24bit/96kHzリマスタリング
CD10:2001年発売のBMGのデジタル・マスターをもとに24bit/96kHzリマスタリング
【収録予定曲】
【CD1】リスト:超絶技巧練習曲S.139より第1番ハ長調 前奏曲、第2番イ短調、第5番変ロ長調 鬼火、第8番ハ短調 荒々しき狩、第9番変イ長調 回想、第10番へ短調、第11番変ニ長調 夕べの調べ、第7番変ホ長調 英雄、第3番ヘ長調 風景
【録音】1958年1月21日~29日、ニューヨーク、マンハッタン・センター(原盤:RCA/初出:LM2291)[世界初CD化]
【CD2】リストによるトランスクリプション集/ドニゼッティの「ルチア」の回想S.397、シューベルトの「ます」S.564、ヴェルディの「リゴレット」の主題による演奏会用パラフレーズS.434、シューベリトの「セレナード」S.558-9、ワーグナーの「糸紡ぎの合唱」S.440、ショパンの「いとしい人」、ショパンの「彼女の好きな場所」、シューマンの「献呈」、シューマンの「春の夜」
【録音】1969年、バルセロナ、カジノ・デラリンサ・デル・ポブレ・ノウ(原盤:スペインEnsayo/US初出RCA LSC-3259)
【CD3】ラフマニノフによるトランスクリプション集/クライスラーの「愛の喜び」、W.Rのポルカ、チャイコフスキーの「子守歌」、ビゼーの「アルルの女第1組曲のメヌエット」、前奏曲 変ト長調Op.23-10、R=コルサコフの「くま蜂の飛行」、クライスラーの「愛の悲しみ」、前奏曲嬰ト短調Op.32-10、J.S.バッハの「無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ」~プレリュード、ムソルグスキーの「ゴパック」
【録音】1973年7月7月10日~16日、ニューヨーク、RCAスタジオ(原盤:RCA /初出:ARL1-0357)
【CD4~5】リスト:超絶技巧練習曲S.139、コンソレーション S.172、愛の夢第3番S.541/3
【録音】1970年、バルセロナ、カジノ、デラリンサ・デル・ポブレ・ノウ(原盤:スペインEnsayo/US初出:RCA CRL2-0446)
【CD6~7】カーネギー・ホール・ライヴ/J.S.バッハ(ブゾーニ編):シャコンヌ、 ショパン:24の前奏曲Op.28、J.シュトラウスII(タウジヒ編):人はただ一度生きる、蛾、アドルフ・シュルツ=エヴラー:ヨハン・シュトラウスの「美しき青きドナウ」に基づく演奏会用アラベスク、ワーグナー(リスト編):歌劇「タンホイザー」序曲、モシュコフスキ:女軽業師Op.52-4、ルビンシテイン:練習曲Op.23-2「スタッカート」
【録音】1974年2月25日、カーネギー・ホールでのライヴ(原盤:RCA /初出:ARL2-0512)
【CD8】フランク:ピアノ五重奏曲 ヘ短調、ヴォルフ:イタリアン・セレナード~with ジュリアード弦楽四重奏団~[*ヴォルフにはボレットは参加していません]
【録音】1978年1月25日、1981年2月17日(ヴォルフ)、ニューヨーク、CBSスタジオ(原盤:CBS/初出: IM 36701)
【CD9】ショーソン:ヴァイオリン、ピアノと弦楽四重奏のためのコンセール~with イツァーク・パールマン(Vn) ジュリアード弦楽四重奏団
【録音】1982年1月6日、ニューヨーク、ヴァンガード・スタジオ(原盤:CBS/初出: M 37814)
【CD10】愛の夢&ラ・カンパネラ~リスト名演集リスト:愛の夢第3番S.541、演奏会用練習曲S.145~第2曲「小人の踊り」、演奏会用練習曲S.144~第3曲「ためいき」、詩的で宗教的な調べS.173~第7曲「葬送曲」、パガニーニによる大練習曲S.140~第3曲「ラ・カンパネラ」、演奏会用練習曲S.145~第1曲「森のささやき」、半音階的大ギャロップS.219、スペイン狂詩曲S.254、ワーグナー(リスト編):歌劇「タンホイザー序曲」*
【録音】1972年8月21日~24日、1973年7月16日*、ニューヨーク、RCAスタジオ(原盤:RCA[2001年初出])
【演奏】ホルヘ・ボレット(P)

カテゴリ : ニューリリース

掲載: 2014年07月04日 19:30