演奏時間62分! デニス・ラッセル・デイヴィスによる壮麗なシューベルト《ザ・グレート》
2013年12月、デニス・ラッセル・デイヴィス(1944~ )が初めて読売日本交響楽団に出演し、ベートーヴェン「第9」を振ります。この来日に合わせるように新録音、シューベルトの交響曲第8(9)番《ザ・グレート》が発売されます。
デニス・ラッセル・デイヴィスはアメリカ・オハイオ州出身で、欧米の名門歌劇場やオーケストラの音楽監督を歴任し、現在はリンツ・ブルックナー管弦楽団とバーゼル交響楽団のシェフを兼務しています。レコーディングの世界でも18世紀のハイドン(全107曲)、19世紀のブルックナー(全10曲)、20~21世紀のグラス(全9曲)という様式の異なる三者の交響曲全集を完成する快挙を成し遂げました。2009年より首席指揮者を務めるバーゼル交響楽団とは、現在シューベルトとオネゲルの交響曲録音に取り組んでおり、この第8(9)番《ザ・グレート》は第3番&第5番(SOB01)に続く2枚目のシューベルト録音となります。
冒頭ホルンの柔らかな主題吹奏に始まり、 木管群のニュアンス豊かな歌い交わし、弦楽器群の澄み切った合奏が、弾力に満ちたリズムに乗って淀みなく流れてゆきます。主題呈示の反復を実行しているため演奏時間は実に62分に及びますが、ふつうは演奏時間に差の出る4つの楽章が似たような演奏時間となっているのは注目されます(第1楽章 16分52秒、第2楽章 15分07秒、第3楽章 14分07秒、第4楽章 16分05秒)。結果として4つの楽章の比重は均され、全曲はリズムの脈動で一貫され、彼のブルックナー録音と同様、細部を積み上げて雄大な造形を築き上げた見事な演奏が生まれました。
シューベルト:交響曲第8(9)番
デニス・ラッセル・デイヴィス指揮 バーゼル交響楽団
2013年6月3-5日 カジノ・ベーゼル・ムジクザール(ライブ)
[Solo Musica SOB03]
掲載: 2013年12月03日 09:58