【HMF】ヤーコプス~バッハ:マタイ受難曲≪ボーナスDVD付き≫

満を持してついに登場!
合唱の配置方法など注目点満載の強力盤!
ヤーコプスが遂にマタイ受難曲を録音しました!
幼い頃、ボーイ・ソプラノとして演奏に参加したことをはじめ、ヘレヴェッヘ(1984)、そしてレオンハルト(1990)のレコーディングにもアルトとして参加、そして何度もこの作品を指揮してきたヤーコプス。まさに、満を持して世に送り出す、記念碑的録音といえるでしょう。
「マタイ受難曲」は、2つの合唱と管弦楽のグループを持つ大規模な作品。この初演はトーマス教会で行われましたが、教会の構造や記録等を見ても、その時は、ひとつのグループは正面の祭壇のところに、そしてもう片方のグループは、礼拝参列者の後ろの、バルコニーのようなところで演奏されたと考えられます(しかもそれぞれの位置は24メートルほども離れていました)。ヤーコプスは、このレコーディングに際し、合唱を、ソリストも含む24人のPrincipal合唱団と12人のRemote合唱団に分け、配置をこれまでのように左右に置くのではなく、前後に配置しています。このことにより、音楽面、音響(録音)面の両方で、素晴しい効果を生んでいます。Principal合唱にはエヴァンゲリストやイエス役のソリストも含まれ、受難の物語にダイレクトに関わり、生々しい描写をしていきます。Remoteの方は、たとえば冒頭の合唱曲では「いずこへ?」などのパートを担当、さまよえるような雰囲気を醸成しています。管弦楽も同様の割合で分け、これまでにない音世界。ただ、これは当時の演奏を再現しようとするためのものではなく、あくまでもバッハのアイディアを具現化させようという検討と試行錯誤の結果です。
冒頭合唱が入るまでのオーケストラの前奏から、通奏低音が刻むひたひたとしたリズムに、管・弦楽器が美しく絡む極美の世界。合唱も非常に柔らか。それぞれのアリアも、歌手が歌う言葉ひとつひとつはもちろん、器楽パートにもすみずみまで血が流れているのを感じます。通奏低音も、アルパーマンのオルガン、野入志津子のリュートなど、場面場面に非常に寄り添った音楽。ギューラのエヴァンゲリストも、出過ぎることはありませんが、物語の起伏に寄り添った語り部ぶりで見事。SACD HYBRID でオーディオ的にも魅力なのも注目です。
※ボーナスDVD(NTSC、リージョン・オール)付き!
「J.S.バッハ:マタイ受難曲/ヤーコプス」[HMC802156]にボーナスDVDが付きます。
トータル46分、録音風景や、ヤーコプスらへのマタイ受難曲についてのインタビュー(日本語字幕はありません)など、情報満載。
今回のレコーディングは、演奏陣の配置も注目点なだけに、録音風景を映像で確認できるのはうれしいところです。
【曲目】
J.S.バッハ: マタイ受難曲
【演奏】
ルネ・ヤーコプス(指揮)
ベルリン古楽アカデミー
RIAS 室内合唱団
Staats- und Domchor Berlin(ベルリン大聖堂合唱団)
ヴェルナー・ギューラ(福音書家/ T)、ヨハネス・ヴァイサー(キリスト/ Bs)
ソプラノ/イム・スンヘ[12,13,27a,48,49]、クリスティーナ・ローテルベルク[8,30]
アルト/ベルナルダ・フィンク[5,6,27a,38,39,59,60]、マリー=クロード・シャピュイ[51,52]
テノール/トピ・レーティプー[19,20]、ファビオ・トゥリュンピ[34,35]
バス=バリトン/コンスタンティン・ヴォルフ[56,57]
バス/アルットゥ・カタヤ[22,23,30,42]
【録音】
2012年9月
テルデックス・スタジオ・ベルリン