ゲルハルト・タシュナーの芸術シリーズ第5弾

好評の音質によるMD+Gの復刻シリーズ
タシュナーは1941年に19歳の若さでゴールドベルクの後任としてベルリン・フィルのコンサートマスターに招かれ、1945年までフルトヴェングラーと共に第2次大戦下の辛く厳しい時代を生き延びました。非ナチ化裁判の対象にならなかったため、戦後すぐにソリストとしての活動を再開し、またギーゼキング&ヘルシャーと組んだピアノ・トリオでも活動を展開。1976年に55歳でベルリンで亡くなりました。ソリストとしての活動期間が短く、また録音が少ないため「知る人ぞ知るヴァイオリニスト」に甘んじていましたが、こうした復刻CDによって再評価が進んでいます。
本盤では、20歳代から30歳代はじめの頃の演奏が収められています。曲目は、メンデルスゾーンとチャイコフスキーの協奏曲に加え、サラサーテの“ツィゴイネルワイゼン”とヴァイオリンの屈指の名曲が3曲。
メンデルスゾーンでは、ドイツの名指揮者、フリッツ・レーマンが伴奏(急逝する約3年前)。
チャイコフスキーは、アルトゥール・ローター&BPOとの共演となっています。ローターと言えば、ギーゼキングと録音したベートーヴェンの「皇帝」が有名(全曲録音としては世界最古のもの;M&AでCD化)ですが、タシュナーとの録音は他にも残されています。
“ツィゴイネルワイゼン”は、名ピアニスト、ミヒャエル・ラウハイゼンとの共演。ラウハイゼンは、約1,000曲に及ぶ歌曲の伴奏を行った録音が有名(以前、Documentsより66枚組ボックスがCD化されています)ですが、今回の音源もよく知られているものです。
『ゲルハルト・タシュナー: MD+G復刻Vol.5』
【曲目】
(1) メンデルスゾーン: ヴァイオリン協奏曲 ホ短調 Op.64
(2) チャイコフスキー: ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 Op.35
(3) サラサーテ: ツィゴイネルワイゼン Op.20
【演奏】
ゲルハルト・タシュナー(Vn)
(1)フリッツ・レーマン(指揮) バンベルク交響楽団
(2)アルトゥール・ローター(指揮) ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
(3)ミヒャエル・ラウハイゼン(P)
【録音】
(1) 1953年8月21日
(2) 1948年4月11日
(3) 1943年12月4日