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ジノ・ヴァネリ名曲再録ベスト!金澤寿和氏による特別インタビュー到着

ジノ・ヴァネリ
2011年来日公演のステージ・ショット

 この14日から丸の内コットン・クラブで1年2ヶ月ぶり、4度目の日本公演を行うジノ・ヴァネリ。“ミュージシャンズ・ミュージシャン”としてリスペクトされる超実力派だが、実際にメンバーより数日早く単身来日し、ステージへ向けてコンディションを整えているのだから、まさにプロフェッショナルだ。そんなジノに直前インタビューを敢行。孤高でアーティスティックなイメージを持ち、ステージでの攻撃的なアクションでも知られるが、素顔のジノは大変穏やかで優しい人であった。

----2年連続のコットン・クラブ公演ですね。
4日間8ステージを予定している。僕の理想は、遠い国へ行ったら今回ぐらいのスケジュールで小さなヴェニューでやって、2回ぐらいは大きなコンサートを開くというものだ。そうすると時間をかけて訪れた街を見られるし、楽しむことができる。友達にも会えるしね。特に東京は友達が増えたよ。

----今回は新しいアルバム『ベスト・アンド・ビヨンド』の日本発売とタイミングが重なりましたね。
そうなんだ。オリジナル盤は2年前にイタリアで発売された。ここへ来て、世界各国で順次リリースされているよ。

-----このセルフ・カヴァー集はどんなキッカケで誕生したのですか?
4~5年前に新しいバンドを組んだことに端を発するんだ。新しいアレンジを書いて、リハーサルを積み、それまでとは違うツアーを始めた。それが各地で好評を得て、ファンの間で「ライヴ・アルバムを録るべきだ」という声が大きくなったんだ。そしてある時、イタリアにツアーへ行くと、実際にレコード会社が「やりましょう!」と立候補してくれた。そういうストーリーなんだ。

----レコーディングはいかがでしたか?
録音する前に2年近くヨーロッパ中心にツアーをやっていたから、バンドは最高にまとまっていたよ。だから完全なスタジオ・ライヴで録ることができたんだ。

----アルバムを聴くと、比較的オリジナル・ヴァージョンに近い曲と、まったく別モノに仕上がっている曲がありますね?
新しいハーモニー、前とは異なるアイディア、何か新鮮なサムシングが感じられるものにしたかった。でもオリジナルが最高で、それ以上良くならないと思った曲は、あまりイジらないようにしたよ。変えることはできるけど、進化していなければ意味がないからね。だから、例えば“ブラザー・トゥ・ブラザー”のソロ・セクションのアレンジは基本的に昔のままだ。でも“ピープル・ガッタ・ムーヴ”はもっとアグレッヴにできると思った。同じアレンジでも、バンドが新しくなってパフォーマンスが良くなったり、サウンドが良くっていれば、それはアリだと考えたのさ。

----選曲についてはいかがですか? 代表曲やヒット曲は選ばれて当然ですけど…。
僕がもう一度歌いたい、と思う曲を選んだよ。発表したあとで、別の歌い方や解釈を思いつくことだってあるからね。そこは僕自身のパーソナル・チョイスなんだ。

----発端はニュー・バンド、というお話ですが、あなたはいつも最高に卓越したミュージシャンを探してきますよね? 特にドラマーは、ヴィニー・カリウタのようなトップ・ドラマーを駆け出しの頃に起用しています。
そうだね。確かにドラマーの選択には時間を掛けているね。今のドラマーのラインハート・メルツは、よく出入りしているブルー・モンクというライヴ・ヴェニューで見つけたんだ。数人の候補がいたけど、プレイもアプローチにも柔軟性があって、クリックにだって対応できる。しかも、ありきたりのフィルは叩かない。他のメンバーもそうだけど、素晴らしい人材が見つかったと思うよ。

----ドラムにこだわるのは、あなた自身が若い頃にドラムを叩いていたからですか?
多分そうだろう。細かいところが見えてしまうんだ(笑)。それから今は、弟のロスがサウンド全体を見てくれている。

----最大のヒット曲である“アイ・ジャスト・ウォナ・ストップ”は彼の作曲でしたね?彼は曲作りを続けているのですか?
イヤ、もう今はやってない。でもまたいつか書き始めるかもね。

----『ベスト・アンド・ビヨンド』はあなたのキャリアを網羅したものですが、1990年代に入った頃から作風が変わりましたね?
そう、もうポップ・サウンドは充分だと思ったんだ。アメリカでは『ブラザー・トゥ・ブラザー』や『ナイトウォーカー』が成功した。『ブラック・カーズ』はサウンドがドラスティックに変化したけど、メロディはもっとポップになって、ヨーロッパで大成功した。人気という意味では、あれがピークだったと思う。

----オールド・ファンの一人としては、発売直前でお蔵入りした『TWISTED HEART』(1982年)を聴いてみたいです。
悲しく辛い想い出が詰まった作品だね。あれから3年間、契約に縛られて身動きができなかった。家や家財を売って70万ドル調達し、それをキャッシュで渡して、ようやく自由になったんだ。まさにゼロからの再出発だった。それで次はウルトラ・ポップな作品を作ろうと思い立ったんだよ。でもそれをやるなら1970年代のスタイルではなく、1980年代の新しいサウンドでやるべきだと考えた。その結果が『ブラック・カーズ』だ。これはヨーロッパだけでなく、カナダや南米でもヒットした。ロシアへツアーに行けるようになったのも、あのアルバムのお陰だ。だから世界的には、『ブラック・カーズ』が一番成功した作品なんだ。でもそれ以上同じ路線を続けようとは思わなかった。自分の中では、もう目的を達成できたと思ったからね。

----結局、『TWISTED HEART』を出さないと決めたのは、あなたと当時のレコード会社のどちらだったのですか?
レコード会社の判断だった。でも僕は、彼らにはリリースする義務があると考えていた。だからビッグ・ファイトになってしまって、長い時間と費用を浪費してしまった。あの頃は、早くその契約から抜け出したいという一心だったよ。

----デリケートな質問をしてしまってスミマセン…。
いや、良い質問だよ。実際あとになって振り返ると、あの事件がいろいろなことを考える良い機会になったという見方ができるんだ。ハイスクールを出てすぐにショー・ビジネスに入ってしまったからね。時間ができたのでカレッジに戻って、世界中の宗教や哲学を勉強した。別の人生観を学ぶ時期が来たと思ったよ。僕のキャリアに照らせば、とても重要で必要なブレイクだったと思うんだ。

----セルフ・リメイク集を出されたのでお訊ねしますが、40年のキャリアの中で、あなたにとって特に重要なアルバムはありますか?
う~ん、どれもそれぞれ意味があるから、ちょっと選べないな。1970~80年代の作品は、自分の音楽的成長と成功への軌跡が刻まれている。そして1990年代以降は、自分の表現を追求してきた。そういえばちょうど今朝、『ジスト・オブ・ジェミニ』(1976年)に入っている“戦争組曲”をもう一度レコーディングしてみようか、なんて考えていたよ。今なら面白くアレンジできそうなのでね。

----ニュー・アルバムの予定はあるのですか?
ブルース・アルバムを作っているよ。正確には、ジャズ・ブルースだね。ブルースはいつも歌いたいと思っているけど、作品にするなら少し違った方法を模索したい。僕が歌うと何故かピュアなブルースにはならないで、別の方向に進んでいくんだ。だからアコースティック・トリオやギターとのデュオ、ペダル・スティールを入れた曲とかブルーグラス寄りの曲もある。もちろんクラシカルなモノもね。もう7~8割は録音が進んでいるよ。

----では最後に、目前に迫ったライヴについてお訊ねします。去年のステージとは何か変わりますか?
去年のセットになかった曲を7曲やるよ。それに、1stショウと2ndショウで大きくセットを入れ替える予定だ。多分2~3曲しか被らないんじゃないかな? 去年は2~3曲入れ替えただけだったけれど、今年は逆に全然違ったショウになる。

----僕は1日通しで観ることにしています。
(笑)それがイイね。

----バンド・メンバーは去年と同じですか?
そうだね。トランペット・プレイヤーだけ交代する。トランペットはいつも現地で選んでもらっているんだ。東京みたいに音楽的に洗練された都市で活躍しているミュージシャンは、必ず何かイイものを持っている。我々とは少し違った、その国ならではのエッセンスがあるんだ。だからそれを取り込みたい。去年の日本人プレイヤーも素晴らしかったけど、スケジュールが合わなかった。

----14日からの公演について、何かメッセージをお願いします。
僕もメンバーも、この日本公演のために万全の準備を行なってきた。これまでのジャパン・ツアーでも最高のショウになるはずだから、是非 観に来て欲しいね。

通訳 Rene (Renaja)
取材/構成 金澤 寿和/Toshikazu Kanazawa

ジノ・ヴァネリ 2012年 来日公演

@東京:コットンクラブ
2012年11月14日(水)、15(木)、17(土)、18(日)
■11月14日(水)、15(木)
[1st.show] open 5:00pm / start 6:30pm
[2nd.show] open 8:00pm / start 9:00pm

■11月17(土)、18(日)
[1st.show] open 4:00pm / start 5:00pm
[2nd.show] open 6:30pm / start 8:00pm

【メンバー】
Gino Vannelli(vo)
Patrick Lamb(sax)
Greg Goebel(key)
Jay Koder(g)
Damian Erskine(b)
Reinhardt Melz(ds)
小林太(tp) ※14日(水)、15(木)のみ
鈴木正則 (tp) ※17(土)、18(日)のみ

詳しくはこちら→コットンクラブ:http://www.cottonclubjapan.co.jp/jp/sp/2012/1114_gino/

Gino Vannelli“The Measure Of A Man”

カテゴリ : ニューリリース

掲載: 2012年11月13日 12:48

更新: 2012年11月13日 12:48