こんにちは、ゲスト

ショッピングカート
  • Check

特集

LOVE LOVELESS IN JAPAN――〈マイブラ〉と〈愛なき世界〉は日本でどのように愛されてきたのか?

カテゴリ : ピープルツリー 

掲載: 2012年05月23日 17:58

更新: 2012年05月23日 17:58

ソース: bounce 344号(2012年5月25日発行号)

文/土田真弓

 

マイブラの初作『Isn't Anything』が世に送り出されたのは、ストーン・ローゼズ『The Stone Roses』の前年となる88年。そして2作目の『Loveless』は、プライマル・スクリーム『Screamadelica』と同年の91年。いまでこそ〈シューゲイザーの金字塔〉とされるこのアルバムも(もちろんその評価は正しいものであると思うが)、当時はマッドチェスターの潮流のなかで──あくまでもUKのトレンドの一つとして聴かれていた。その一連の流れと60年代ポップとをコラージュした名盤が、フリッパーズ・ギターの91年作『ヘッド博士の世界塔』。そこにVENUS PETERやSPIRAL LIFEなどの渋谷系アーティストが続き、ほぼ同時期に渋谷以外でもdipやCOALTAR OF THE DEEPERS、Luminous Orangeやcruyff in the bedroom周辺が台頭。90年代の終わりにはSUPERCARも登場するが、彼らの影響元として挙げられていたのもペイル・セインツやジザメリなどで、マイブラに限られたものではなかった。2001年にはくるりや千葉市(cali≠gariの石井秀仁の限定的なソロ・ユニット)によるモロに意識した楽曲も発表されてはいたものの、その時点では〈『Loveless』=シューゲイザーの代表作〉という図式は成立していなかったように思う。

では、この作品に対する見方はいつから変わったのか? それは、2000年代半ばに〈ニューゲイザー〉という造語が使われ出した頃からのような気が……。電子音楽界からもウルリッヒ・シュナウスやM83などがここに分類されたが、ゴス〜ダークウェイヴ経由のサイケデリックな轟音にも、繊細な音のレイヤーで空間を埋め尽くしたドリーム・ポップにも〈シューゲイズ〉という表現が当てはめられ、その両方にリンクできる極端なバランス感覚──グルーヴとメロディーの美しい関係性を持つ作品が、『Loveless』だったのではないかと。例えばAMWEがエレクトロ・カヴァーした“Only Shallow”をUKニューウェイヴ〜グランジな作風のPlastic TreeがライヴのSEとして15年来使用していたり、UKロック直系の新人・Heavenstampによる最新EPのタイトル曲には〈愛なき世界〉という原題があったり……『Loveless』の持つ類稀な陶酔感は、さまざまに形を変えながら日本の音楽シーンに浸透している。

 

▼関連作品を紹介。

左上から、フリッパーズ・ギターの91年作『ヘッド博士の世界塔』(ポリスター)、VENUS PETERの91年作『LOVE MARINE』(WONDER RELEASE)、dipの94年作『i'll』(EMI Music Japan)、COALTAR OF THE DEEPERSの94年作『THE VISITORS FROM DEEPSPACE』(ビクター)、SUPERCARの2000年作『FUTURAMA』(キューン)、AMWEの2010年作『GIRLS』(U.M.A.A)、Plastic Treeの2011年作『アンモナイト』(徳間ジャパン)

 

インタビュー

ページの先頭へ

TOWER RECORDS ONLINEに掲載されているすべてのコンテンツ(記事、画像、音声データ等)はタワーレコード株式会社の承諾なしに無断転載することはできません。
情報の一部はRovi Corporation.、japan music data、(株)音楽出版社より提供されています。
タワーレコード株式会社 東京都公安委員会 古物商許可 第302191605310号

Tower Records Japan Inc.