いまはバンドをやることが楽しい
――お話を訊いていると、それぞれバンドとの向き合い方が変化してきていると思うのですが、どういうふうに変わってきているのか、最後にひとりずつ訊いてもいいですか?
笹原「僕はあんまり変わっていないと思う。僕にとってスパングルは、良いオモチャみたいな感じですね。スパングルの音楽は人生である、とか、そこまでのものでもないし、すごい遠いものでもない。なんか、おやつみたいな感じ(笑)。ご飯ほど重要じゃないけど、あると豊かになるというか、ないと寂しいし、みたいな」
藤枝「でも、最初はオモチャじゃなかったんじゃない? だからケンカもしたし。ここ何年かで笹原君がバンドを〈オモチャ〉っていうようになってから、ケンカしなくなったもん(笑)」
笹原「そうね。最初の頃は、バンドやっている時はミュージシャンっていう気持ちがあった。いまではミュージシャンだとは思ってなくて。音楽もやるし仕事もするし、当たり前の生活の一部というか」

――3人とも音楽以外にも仕事を持っている、っていうのも大きいんでしょうか?
笹原「うん、それは絶対。じゃないと解散してますね」
大坪「私も笹原君に近いところがあって。わかりやすく例えていい?」
笹原「うん。多分わかりづらいと思うけど(笑)」
大坪「例えば、凧。もともと凧を揚げたくなくて、しかも、揚げるとしたら自分で描くみたいな感じだったんですよ」
藤枝「もうわかんない(笑)」
大坪「自分でいちから全部やりたい。で、揚げずに持ってたいみたいな。でも、それが〈いや、揚げたほうがいいでしょ〉〈あ、そっか、凧だから揚げたほうがいいか〉みたいな感じで、どんどん自分で持ってたいと思っていた部分が解き放たれて、少しずつ糸を出していく。〈そのほうが楽だし、みんなも見てくれるしいいじゃん〉みたいな。で、いまはさらに、糸がないんですよ」
藤枝「それ、コントロールできないじゃん」
大坪「できないんだけど、多分、凧が勝手に動き回るようになってる」
笹原「羽根が生えて飛び出したんだ、凧が」
大坪「そうそう、それを自分でコントロールできなくても、安心して見てられるみたいなところまできてるんですよ」
――もう、ハラハラしないんですね、落ちるんじゃないかって。
大坪「しない。自分でなんとかしたいっていうのもなくなって。すごい開放感がある感じですね。最初はアルバムのジャケとかも〈私、描く〉みたいな、いろいろ〈私もやる〉みたいな感じだったんですけど。それが解き放たれて、自分のスパングルでの役割というのがいろいろ見えてきた。そのほうがいい、っていうところに落ち着いたというか」
――いまは3人で凧を見てる感じですか?
大坪「そうですね」
笹原「実は誰かがラジコンでコントロールしてたりして(笑)」
藤枝「実は僕がモーターをこっそり付けておいて、でもふたりは〈よく飛んでるね〉って(笑)」
――藤枝さんはいかがですか?
藤枝「その例えに合わせて言うなら、僕はそのモーターのメンテナンスさえすればいいみたいな。長くやってきてるんで、そのラジコンのコントロールに対する信頼感も出てきてると思うし。最近になって、話し合いの仕方や進め方次第で、僕も二人に任せる部分が多くなってきてるし。そのへんの信頼関係ができてきたんだろうね。昔は誰かに任せるのがイヤだった。信用してなかったのかな」
笹原「信用してなかったというより、3人とも〈自分が!〉みたいなのが多かったね」
――それぞれに表現したいことが明確にあって、それを譲れなかったんですね。
藤枝「そう、特に僕はその闘いには常に勝ちたかったので(笑)。でもそれは、そういう解決の仕方じゃなくても、自然と自分の思いどおりになるようになってきてる。だから、プロデューサーを立てるっていうのにしても、プロデューサーを立てることでやりやすくなるし、それによっていいことがいっぱいある。アルバムごとのカラーも違うし、勉強することもすごいあるし。なんかいいことしかない。だから楽しいですよね、いまバンドをやっていくことが」
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