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5月21日公開映画『海よりもまだ深く』是枝裕和監督インタビュー

タグ : 勝手に!?映画祭 

掲載: 2016年05月17日 12:00

更新: 2016年06月21日 13:05

海よりもまだ深く

5月21日公開映画『海よりもまだ深く』の是枝裕和監督にお話を聞いてきました。
サイン入りプレスのプレゼントもあります!ぜひ!

―着想から脚本の書きはじめまで、時間はかかりましたか?

メモを取り始めたのは2009年からで、脚本を書き始めたのが2014年からだったんだけど、いつも大体そのくらいはかかるんじゃないかな。
本当は『海街diary』の後に撮影するつもりだったんだけど、こっち(『海よりもまだ深く』)が意外と早く書けてしまったので、それなら撮っちゃうか、と。
『海街diary』は背筋を伸ばして生きようとしている人たちの話であるのに対して、『海よりもまだ深く』は背筋を丸めるだけまるめて生きている人の話だけど、同時並行することで、お互いのやろうとしていることが、より自分の中で整理できるかもしれないと思ったんです。

―今作では“なりたかった大人”になれなかった大人たちの物語を描いていますが、是枝監督自身がなりたかったものはありますか?

海よりもまだ深く

プロ野球選手。それは真悟に重ねているの。
声の小さい子で、身体も小さかったから、フォアボール狙い。でも代打じゃなかったから、一番レフト。

―なりたいものが、プロ野球選手から映画監督に変わるきっかけはあったのですか?

あの頃の夢ってみんなプロ野球選手だったから、元々プロ野球選手になれるとは思っていなかった。だから、挫折とかはないんですよ。
そのあと、高校生ぐらいでなんとなく、学校の先生になろうかなって思ったり、漠然と小説家になりたいなと思っていたんだけど、大学にいって、“あ、映画もいいな”って。

自分が子供の頃に思い描いていた53歳って、もっと大人だと思っていた。
息子として、もっとちゃんと全うしてあげてればよかったなとか、父親ってこの程度で大丈夫なの?という事を含めて、自分がある種、こうありたいと思っていた像とはどれも違うよね。
50代って、きっと周りをみていても、自分が思っていた像とは違うとしても、それをどう受け入れていくかという段階にきちゃっているから、まあそんなもんかなっていう諦めがでてくる。でもそこに諦めきれない男の話をやってみようと思ったんです。

海よりもまだ深く

―監督ご自身の現状を反映した作品でもあるのでしょうか?

『歩いても 歩いても』を撮り終えて、もう一度樹木さんと阿部さんのコンビで、家族ものをやりたいなと思っていました。だから2009年に、きっとまた家族の話を撮るという気持ちでノート付け始めている。その間、阿部さんと僕もお互いに50代になり、父親になったという変化があったし、阿部さんと子供の話をする機会事も増えてきたから、今度は主人公に父親の目線を加えてみようかなと思った。『歩いても 歩いても』の時は息子から見た親の話だったので、これは息子である事と、夫である事と、父である事というもの事を少し立体的に描こうと思いました。

―『海よりもまだ深く』は阿部さんと樹木さんを想定して、当て書きをされているそうですが、『歩いても 歩いても』からもそうでしたよね。
今回、是枝組初参加の池松さんも出演が決まってから、当て書きされたと聞きましたが、毎作品そうされているのでしょうか?

海よりもまだ深く

脚本の最初から阿部さんと樹木さんで当て書きはしていたけれど、あとはイメージしながら書いています。これは真木さんでいけるかな?と思って、真木さんに出演が決まると、真木さんをイメージしてもう一度書き直す。池松君も出演が決まって、書き直しましたね。

―最近は“家族”をテーマにしている作品が多いですが、監督は“家族”というものをどう捉えているのでしょうか?

バランスは作品事に微妙に変わるけど、いつも描く時に考えるのは、“やっかいだけどかけがえのない”というところ。どっちもやりたいなと思っています。

―これからも家族をテーマにした作品を撮られるのでしょうか?

海よりもまだ深く

“家族”のテーマが続いたのは、この10年ぐらいで自分に起こった変化として一番大きかったのが、家族だから。
母親が亡くなって、“息子”ではなくなって、子供が出来て、父親になってという家族の中での自分の役割、ポジションが変わって、亡くなった自分の父親の事を思い返す事が増えたりして、それが作品に反映しているという流れがあります。

―今後は、原作がある作品よりも、オリジナルの企画の方が多そうでしょうか。

『海街diary』のように大好きな作品と向き合ってつくっていく事で、自分の中からは出てこないようなものに触れるというのは、経験としてはとてもよかったので、原作のある作品もありだなと思うし、オリジナルで企画が通るようであれば、オリジナルでやりたいという気持ちもあります。
自分の書いたものしかやりませんと言ってしまうと、それはそれで似通った話になってきてしまうし、実体験に基づくものしか作りませんと言ってしまうと、作品の幅に限界があるなと思うし。

―『海よりもまだ深く』は、名台詞が多く出てくると思うのですが、今回は意図的にそうしたのでしょうか?

そうですね。主人公がメモを取っているから。

―あの行動が気になりました(笑)
監督も主人公のようにメモを取っているのでしょうか?

やっていますよ。
西川(美和監督)もやっていますよ。バラしちゃいましたけど(笑)

―では、劇中の名台詞の数々は、監督のメモから出てきたものなのでしょうか?

海よりもまだ深く

主人公は、ふっともらした言葉を書いて、その書いたものをピックアップして『海よりもまだ深く』という第2作目の小説を書くんです。
ストーリーとしてそういう前提で、会話の中で、主人公がピックアップしそうな台詞を一応用意しました。
ラストで、良多が“誰かの過去になる勇気”を持つってこういうことなのかなと、リリーさん演じる興信所の所長が言った台詞をふっと思い出したりするじゃないですか。そういう風に、それぞれの顔が台詞と共に、ふっと残るようなやり方をそれぞれのキャラクターにしています。

―台詞の数々は監督の実体験から出てきたものなのでしょうか?

色々ですよ。
あの状況になった時に、母親は何をいうかなという想像でもあるし、だけど「今を愛せない人だったね」というのは、父親が亡くなったときに、母親が言っていた言葉だったりするので。

―阿部さんがとても小さく見えたのですが、どういう演出をされたのでしょうか?

ずっと背中を丸めて生きている男という話はしていたので、ラストの部分までは背中を丸めているという演出はしていました。
小さくはなっているんだけど、あの団地には大きいし、サイズがあってないアンバランスな感じが面白いと思いましたね(笑)

―今回、音楽はハナレグミさんが担当されていますが、ハナレグミさんを聞きながら脚本を書いていたとお伺いしました。どの曲を聴いていたのでしょうか?

エンディングにかけるとしたら「家族の風景」だなと思って、書きながら「家族の風景」をかけていました。

―ハナレグミさんにリクエストなどはしたのでしょうか?

何一つしてないです。おまかせです。

―完成した曲を聞いてどうでしたか?

素晴らしかったですね。素晴らしいとしか言いようがないです。
スタジオで録音しているときに遊びに行って、その時はまだ歌詞が出来ていなった。メロディラインだけでずっとハミングで、一か所だけHello,Againって入っていて、そこだけは決まっているんだといって聞かせてもらったんだけど、もうそれだけで感動しちゃって。素晴らしくて。
これでいいです!もし歌詞ができなかったら、ハミングだけでいいです!っていうぐらい(笑)
その時に、脚本の最初の一行目に、<みんながなりたかった大人になれるわけじゃない>と書いているんですよという話をしたんです。帰りがけに、永積さんがなんとなく書けそうな気がすると仰って、そこから<夢見た未来ってどんなだっけな>いうフレーズが出てきた。

―『映画を撮りながら考えたこと』についてもお聞きしたいのですが。

この20年、テレビと映画をやりながら、自分が今どんな風に考えたり、悩んだり、発見したりしたかということを余すことなくしゃべりました。

―『海よりもまだ深く』だけでなく、全ての作品においてでしょうか?

全部ですね。こういうことは初めてやりました。

―自伝的な一冊ですね。撮影方法や、構想やすべてですか?

海よりもまだ深く

そうですね。全部です。包み隠さず、しゃべっていますね。

以上。是枝監督のインタビューでした。短い時間でしたが、ありがとうございました!

【担当こぼれ話】
毎作品事にベストが変わるぐらい、是枝作品のファンであった担当としては…もう…緊張で死ぬかと思いましたが、お忙しい中、お時間を作っていただき、ありがたい気持ちでいっぱいでした。
原作とオリジナルの話や、ハナレグミさんとのエピソードなどを聞けて貴重な時間となりました。
お話を聞いて改めて『歩いても 歩いても』も見たくなり、名画座で『歩いても 歩いても』との2本立てで見てみたくもあり、目黒シネマさんでの監督企画第2弾も個人的には期待したいとこではあります!

Text:Naomi Jomori

 

ハナレグミ「家族の風景」はアルバム「hana-uta」の1曲目に、「音タイム」の4曲目に収録。
主題歌は「深呼吸」はこちら。

 

『映画を撮りながら考えたこと』
『誰も知らない』『そして父になる』『海街diary』、新作『海よりもまだ深く』…全作品を振り返り、探った、「この時代に表現しつづける」その方法、技術、意味、そして可能性。
テレビと映画に魅せられた青年が、日本を代表する映画監督になるまで。
考え抜かれた論理と作家の感性が宿る是枝作品の神髄を綴る。
「撮ること」は、自分を映し、世界を映す。
構想・制作期間8年の決定版、ついに完成!

 

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