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映画『天空の蜂』の脚本を担当している楠野一郎さんのインタビューはこちら

タグ : 勝手に!?映画祭 

掲載: 2015年09月09日 09:17

更新: 2015年10月06日 11:36

9月12日公開映画『天空の蜂』の脚本を担当している楠野一郎さんにお話を聞いてきました!
作品の萌えどころや、関連おすすめタイトルまで盛りだくさんの内容です。ぜひ!

―作品を作るにあって、最初脚本の依頼が来た時はどう思われたのでしょうか?

天空の蜂

映画化するのは大変だろうなって思いました(笑)。スケール的な意味でもそうですし、繊細な問題をはらんでいるしお金もかかる。どの映画もそうですけど、脚本家の方にお話しいただいた時には100%映画になるかどうかは大概わからないんですよ。この作品に関しては、特に困難なハードルが多くて、企画の成立度が低いのではと最初は思いました。

―脚本を作るにあたって、悩むところや、難しいところはありましたか?

元々の原作が20年前の話なので1995年の設定のままやるのもありますし、1995年の話を現代の話に置き換えるっていうやり方もある。脚本に入る前、最初の段階で一番難しかったのはそこの部分なんですよ。
僕が最初に出したプロットが原作通り、1995年の設定なんです。そのプロットの、震災以降の視点を踏まえた上で、1995年の話にするっていう部分が、(原作の)東野先生のこうしたらいいんじゃないかっていうアイディアとコンセンサスがとれていたんですよね。なので脚本制作には時間がかかりましたけど、特にストレスがなく作成できましたね。

―それはすごいですね。東野さんとは直接お話しされたのでしょうか?

東野先生とは直接話した訳ではなく、プロデューサーを通してなんですが。
僕が入る前に「どうしたらこの原作を効果的に脚色できるか?」のお話はされていたと思うんです。製作側が一番やっぱりそこが悩みどころだったと思うんです。でも、2011年の事は無視して語れない話だと思います。
もしこれが2011年以後の設定になった場合、原作のままは出来なくなりますよね。震災が起きる前の、危機管理がふわふわした日本に、こういう事件が起きる話ですから。逆に2011年の震災をへて、同じ事が仮に2015年に起きたとしても、まったく話が変わっています。
という事は、1995年でやるしかないだろうなと、かといって2011年を経た視点っていうのもなければおかしい。
20年前の原作が発表になった時、“ある種その時黙殺された”って東野先生がおっしゃっていますけど、原発の抱える問題をしっかり描いたのにも関わらず、黙殺されて。20年経って、“ほらだから、言ったじゃないか”って事じゃないですか。そういう感覚もちゃんと反映するには2011年以降という視点は必然かなと思った。そこはもうそうするしか、やりようがないんじゃないかと思ったんですよね。

―作品を拝見して、私は2011年以降の話があったからこそ、作品をより身近に感じられたと思います。

天空の蜂

フィクションだけど、現実世界と地続きのところがある。
脚色に関して、細かいところではいっぱい色々変えさせていただいてるところはありますけど、その現実との地続きの感覚が軸になっていれば、あとは細かい修正をしただけでした。

―作品の出来上がりを見て、良くも悪くも変わったところはありましたか?

やっぱり脚本だけだと描き切れない部分はあって。ビッグBが発進するところが、ト書きだと“ビッグBのターボシャフトエンジン音がいっそう大きくなる。それはまるで、目覚めた怪獣の咆哮のように”って書いたんです。基本的にト書きって、簡潔を良しとするものなので、あんまり、色々書いてもしょうがないんですけど(笑)。ここに関してだけは、脚本を書いた側の気持ちも込めて、“こんぐらいのものが聞けるといいな”と思って書いたんですけど、実際映画館で見た時に、すごい楽曲や効果音が付いているんですよ!
サウンドエフェクトを担当されている北田雅也さん(最近では塚本監督の『野火』も担当)が、実際に僕が想像した以上の音を作って返してくれた事は感動しました。

天空の蜂

あとは中盤、ビッグBに取り残された高彦を救助するシーン。雲の演出は監督の堤さんが足されている部分なので、実際に映像を見てみるとなるほど!と。脚本で想定していた以上のサスペンスになっていると思いました。

―あのシーンはハラハラ度がすごいですよね…。

プロデューサーたちも含め、まずはエンターテイメントとして成立していることが大事だと思って、脚色をしていました。重いテーマ部分があるので、“おもしろい”と思う事をためらう方もいるかもしれませんが、“おもしろい”って言っていただける事は、光栄な誉め言葉だと思っています。お金と時間をこの映画に費やしてくださる方に、“おもしろい”と思ってもらう事が前提で、その先に何か感じ事や、考える事があれば持って帰ってもらうのがいいと思うんです。

―作品を見て、色んなキャラクターの職業の方が、一つの事に力を合わせて向かってゆく話でもあると思うのですが、職業映画的でもあり、個々のキャラクターがかっこよく、それぞれフィーチャーされていて、そういう面でも見ていておもしろかったです。

何か一大事が起こった時に、その時に職業人としてやらなきゃいけないことをやる。柄本さん演じる室伏の台詞で“これが俺たちの仕事や!”っていう台詞があるんですが、実際に震災の時に自分のような作家は何の役にも立たないなと思った時があったんです。でもその後に、どんなときでも自分のやれる事を、自分の職場でやるしかないという事に至ったんです。この映画でも、それぞれの立場でそれぞれのやるべき事をやる。それぞれの職種を侵さないようにするという事に気をつけている。それぞれの領分を守った上でストーリーが進んでいくようにしました。

天空の蜂

―男性キャストが仕事に打ち込んでいる姿がかっこよかったです。

実はこの映画、おじさん萌え映画でもあると思っていて(笑)仕事に真剣に打ち込む、働くおじさんがよりどりみどりだとも思っているので、自分の好きなおじさんを見つけるも良し、ムカつくおじさんを心の中で罵倒するも良し。自分だけの推しおじさんを見つけるという見方もいいと思います!

―私は國村さん演じる中塚の変化や、江口さん演じる湯原の苦悩し、突き進むしかないと行動している姿に萌えました…。皆さんそれぞれかっこいいのですが!

以上、インタビューになりますが、楠野さんからおすすめ作品もピックアップしていただきましたので、こちらもぜひ!

『新幹線大爆破』
この原作を脚色する際、一番その「脚本の骨格」を参考にし、目標とした作品です。日本映画史で指折りの面白さを誇るパニック大作。科学技術の発展によってもたらされた恩恵と、その反面にある歪みが大事件を引き起こすんですが、多様な視点の置き方といい、「止めなければいけない、しかし止めたら大変なことに」という仕掛けの面白さといい様々な部分で共通しています。これをはじめとして、今回の脚色では「70年代オールスターパニック超大作」の構造を凄く意識しています。ある一つの災厄を前にして、さまざまな職業の人々が、それぞれの場で、それぞれの「やるべきこと」を果たそうとする。犯人側も含めて「これが自分のやるべきことだ」という信念に貫かれた人々の物語。そんな構造ですね。

『ジョーズ』
言うまでもなく脚本といい演出といい映画の教科書のような作品。傑作中の傑作なので今更名前を上げるのもおこがましいんですが。ある地方都市に突然襲来した脅威、しかし様々なしがらみによってその脅威を簡単に排除する事ができないどころか「それが脅威である」事すら認められない人々。そこに「家族を持った普通の男」が立ち向かわざるを得なくなる。そして…という具合に、プロットの骨格は『天空の蜂』と共通しており、これも様々な部分で脚色の参考になりました。「(実質、脚本を書いたと言われている)スピルバーグさんありがとうございました」という気持ちを、ある台詞にこめています。唐突といえば唐突な台詞なんですが、まあ、あれは「おまじない」のようなものでしょうか。

 

『タワーリングインフェルノ』
これも70年代パニック映画大作の名作ですね。この映画のポール・ニューマンはビルの設計技師なんですが、
彼が「人々の為に」設計し、建てられたはずの夢の超高層ビルが惨劇を生み出す巨大な棺桶となってしまう。彼自身がたまたまその惨劇の場に居合わせたことで、自ら人命救助やビルの消火活動に駆け回る事になるんですが、『天空の蜂』で江口洋介さんが演じた主人公・湯原もまさにそうです。彼らを動かすのは職業人としての責任感なんですが、同時に贖罪の感情も背負っています。

 

『クリムゾン・タイド』
今回選んだ中では唯一、70年代パニック映画の文脈からは外れている90年代の作品です。『天空の蜂』は原発の対策本部に置けるディスカッションドラマでもあるんですが、その部分に置いてはこの作品のような張りつめたテンションが目標でした。ほとんどが狭苦しい潜水艦の中で、いかついオジサンたちが至近距離で顔つきあわせて「ボタンを押せ!」「押しちゃダメだ!」と喧々諤々するのが全てなんですが、大変面白いです。これもまた両者が強い「責任感」を背負っているからなんですね。職業人たるもの(彼らは軍人ですが)この10分の一くらいの責任感は日々保ちたいものではあります。

【担当こぼれ話】
本当は、秦さんのみのインタビューだったのですが、個人的にSNS上でお話する機会があり、今回このような機会をいただきました。緊張しまくりのインタビューになってしまいましたが!楠野さん、ありがとうございました!
主題歌、作品について、さらにおじさん萌えなど、個人的には映画って色んな角度で色んな要素があるんだなと改めて思った作品&インタビューでした。改めて劇場で本作を拝見したいと思います!

Text:Naomi Jomori

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