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【クラシックを極める】第3回:時代楽器で味わうピアノ・ソナタ

カテゴリ : Classical  キャンペーン  | タグ : 極めるシリーズ 

掲載: 2015年03月13日 17:45

更新: 2016年01月20日 18:30

時代楽器で味わうピアノ・ソナタ

音楽をより深く楽しんでいただくための特別企画「極めるシリーズ」。今回は「時代楽器で味わうピアノ・ソナタ」がテーマ。近年ますます注目が集まる時代楽器(歴史的ピアノ)の魅力を、さまざまな作曲家のソナタとともにご紹介します。

※当記事は2015年の「東京・春・音楽祭」内のコンサート『平井千絵 フォルテピアノ・リサイタル』に合わせて企画されました。当時のプログラムの詳細はこちらをご覧ください。



・Mozart Speaks Vol.1⇒レコード芸術 特選盤
・Mozart Speaks Vol.2⇒レコード芸術 準特選盤
・Mozart Speaks Vol.3⇒レコード芸術 特選盤
・Mozart Speaks Vol.4⇒レコード芸術 特選盤


⇒【付録1】フォルテピアノ奏者 平井千絵ディスコグラフィ

 



1.ジュスティーニとクリストーフォリのピアノ

『ジュスティーニ:チェンバロ・ディ・ピアノ・エ・フォルテすなわち、いわゆる小さなハンマー付きチェンバロのためのソナタ集 Op.1』

ピアノという偉大な楽器がこの世に生まれたのは今から300年以上昔、1700年頃のことでした。 発明したのはメディチ家お抱えの楽器製作者、クリストーフォリ。彼の作った楽器はすでにピアノの主要な機構(エスケープメントなど)を備えており、その完成度の高さは、彼の模倣者たちが簡略化した楽器を作らなければならないほどでした。ドイツの有名な楽器製作者ジルバーマンのピアノも、クリストーフォリの楽器を参考に改良を加えていったのです。そんなクリストーフォリの優れた楽器のために書かれたのがジュスティーニの「12のソナタ」。11の異なる調性で書かれた史上初のピアノ・ソナタです。

レコード芸術特選盤&クリストーフォリ1726年モデルのレプリカを使用
「・・・短調のソナタにおいては、上滑りすることのない情感が的確に、しかも奥行きを伴って表現されて言うところがない。・・・まことにこれは、ひとつの世界的快挙、新しい美の領域の開拓にほかならない。(レコード芸術誌09年10月号新譜月評欄、濱田滋郎氏の評より)」


⇒【付録2】フォルテピアノ奏者 小倉喜久子ディスコグラフィ

 



2.モーツァルトとヴァルターのピアノ

2-1.アルテュール・スホーンデルヴルト『4種のピアノによるモーツァルト:ピアノ・ソナタ全集』

ベートーヴェン以前のピアノ・ソナタはあまり……という方、あるいはフォルテピアノの音色が苦手、という方に是非お試しいただきたいBOXがこちら。古楽大国オランダが生んだ知性派、スホーンデルヴルト(ショーンベルト)は「1パート1人」という編成で衝撃を与えた『ベートーヴェン:ピアノ協奏曲集』や『モーツァルト:ピアノ協奏曲集』で有名な、いま最も聴いてもらいたいフォルテピアノ奏者のひとりです。スホーンデルヴルト最大の魅力は、歴史的研究に裏付けされた上での斬新かつ刺激的な演奏。彼の演奏に触れて初めて古典派音楽の面白みに気づく、そんな方も多いのではないでしょうか。

当盤においてスホーンデルヴルトは4つの異なる楽器(2種のフォルテピアノ、クラヴィコード、タンジェントピアノ)を使い分け、それぞれの作品の理想的な姿を提示しています。この演奏を聴けば、モーツァルトの時代のピアノが現代のピアノとはほとんど別もので、当時のピアノを使わなければ表現できない部分がある……ということが容易に理解できると思います。(レコード芸術 特選盤


※使用楽器詳細/
・タンジェントピアノ: 1775年スペト製作(レプリカ)
・フォルテピアノ: 1780年シュタイン製作(レプリカ)
・クラヴィコード:北ドイツ1780年頃製作(レプリカ)
・フォルテピアノ:1790年ヴァルター製作(レプリカ)


※【参考】他にはオランダの巨匠ホッホラントに師事したオールトの全集があります。全鍵盤作品のBOXもあり。主に1785年頃のヴァルターのレプリカを使用。ロマンティックな表現も見られます。


※【参考】ハイドンの時代楽器によるソナタ全集は、錚々たる奏者を集めたBrilliant盤が素晴らしい。ホッホラントの演奏も収録しています。


⇒【付録3】歴史的ピアノを知り尽くした鬼才 スホーンデルヴルト

 



2-2.パウル・バドゥラ=スコダ『モーツァルトが暮らした家のピアノ』

ウィーンの名匠バドゥラ=スコダが、モーツァルトが弾き親しんだ楽器を、かつてモーツァルトが暮らした建物で弾く……そんな歴史的ロマンあふれる、格別の一枚。

ここで演奏されているのは、誰もが知っている「易しいソナタ」第16番や「トルコ行進曲付き」の第11番です。1790年頃アントン・ヴァルターによって製作されたピアノ(レプリカではなくオリジナル!)を用いた演奏は、何とも味わい深く、モーツァルトの耳にした響きがよみがえってくるかのようです。

ヴァルターは18世紀末、最も人気のあるピアノ製作者でした。彼のウィーン式ピアノは、タッチの軽さと歯切れの良さ、音色の豊かさが特徴で、モーツァルトとベートーヴェンという2大巨匠によって愛されたことが、その質の高さの証明となっています。


※【参考】『2台のピアノおよび連弾のための精選傑作集』もオススメ。デムスと2人でヴァルターのピアノを演奏。

 



2-3.A.リュビモフ&Y.マルティノフ『モーツァルトを2台のフォルテピアノで』

ロシア・ピアニズムの系譜を引く巨匠リュビモフと若き俊英マルティノフ、現代のフォルテピアノ界にはなくてはならない2人によって成し遂げられた快挙!…と書くと大げさなようですが、モーツァルトの《2台のピアノのためのソナタ》における「対話と調和」がこれほど見事に行われている演奏はなかなかありません。この2人が弾くのだから当然ですが、フォルテにおける迫力や第2楽章での音色の変化など、当時の楽器ならではの効果も十分に活かされています。レコード芸術誌で特選盤、フランスのディアパゾン誌で金賞受賞という名盤中の名盤。

※マルティノフは近年リスト編のベートーヴェンの交響曲でも高い評価を受けています。詳しくは「新たな魅力を発見!!ピアノで聴くシンフォニー」をご覧ください。

※参考動画(CDに収録されている演奏と同じものです)


⇒【付録4】ロシアが生んだフォルテピアノ界の巨匠 リュビモフ

 



3.ベートーヴェンとエラールのピアノ

アレクセイ・リュビモフ『ベートーヴェンと、1802年製エラールのピアノ~「月光」「ヴァルトシュタイン」「テンペスト」』

ベートーヴェンの創作活動はピアノという楽器の発展史とともにありました。ベートーヴェンとピアノ製作者たちはお互いにインスピレーションを与え合う関係であったといってもいいでしょう。19世紀初頭、ベートーヴェンのもとにウィーン式とは異なるフランス最先端のエラール・ピアノ(=イギリス式、5オクターブ半の音域をもち、足ペダルを備える)が届けられ、それは「ヴァルトシュタイン」「熱情」といったダイナミックなソナタが生まれるきっかけとなりました。

エラールのピアノはオーケストラを思わせる幅広い表現力と何とも言えない香気、また低音域の鐘を思わせるような重厚な響きが特徴で、「月光」や「ヴァルトシュタイン」を演奏すると絶大な効果が得られます。リュビモフは92年にブロードウッドのピアノでこの2曲を録音していますが、この新録音では名匠クリストファー・クラークによって入念に復元されたエラールを使用。楽器の美質を活かしつつ、これらの傑作の新たな側面を明らかにしています。


※こちらの『最後のソナタ群』では晩年のベートーヴェンが愛奏していたというグラーフのピアノ(1828年製)を使用。


※ベートーヴェンがモーツァルトのソナタよりも高く評価していたのがクレメンティのソナタ。トルビアネッリ盤はなんと1812年クレメンティ社製のピアノを使用。後期の充実した作品が収められています。

 



4.シューベルトとグラーフのピアノ

パウル・バドゥラ=スコダ『3種のピアノによるシューベルト:ピアノ・ソナタ第21番』

シューベルトは1814年、《ミサ曲第1番》の初演成功を喜んだ父からグラーフのピアノを贈られます。音域は5オクターブと少し古いタイプの楽器でしたが、彼が生涯で自分用に所有したピアノはこの1台だけだったとされています。シューベルトは友人のもとを転々とする生活を送っていたため、実際には様々な種類のピアノに触れていましたが、ウィーンの伝統を大切にするグラーフ製のピアノを好んでいたことは間違いないでしょう。

シューベルトをこよなく愛するピアニスト、スコダはピアノ・ソナタ全集を2度録音したほか、第21番のソナタをまったく時代の異なる3種類のピアノで演奏し、1枚のCDに収めるというなんともマニアックな企画を行っています。使用されたのは1826年頃に製作されたグラーフのフォルテピアノと1923年のベーゼンドルファー、さらに2004年のスタインウェイ。第1楽章開始後すぐに低音域でのトリルや同音連打が行われる第21番は聞き比べにもうってつけの作品で、そういった箇所ではグラーフの個性的な音色が際立ちます。また澄んだ音色を持ち、まろやかな輝きを放つベーゼンドルファーでの演奏も大変美しいものです。やはりシューベルトの音楽とウィーンのピアノは相性が良いのでしょう。


※Arcanaレーベルに録音した2度目の全集では2種のグラーフを含む5種類のピアノを使用。価格も手ごろで、シューベルトファンならずとも必携のアイテムと言えるでしょう。

 



5.ショパンとプレイエルのピアノ

上野真『プレイエルとエラールで聴くショパン:ピアノ・ソナタ 第2番&第3番』

「気分がのらない時は、エラールを弾く。そこにはいくらでもお気に入りの音色を見つけだすことができる。でも、最高に気分の乗っているときには、プレイエルのピアノでなければならない。」

ショパンのこの有名な言葉を、実際に当時の楽器の音を聴きながら確かめることが出来る好企画。しかも演奏はリュビモフやダン・タイ・ソンによって絶賛されている注目のピアニスト、上野真!大曲であるソナタを時代楽器で弾いたアルバムは少ないため、その点でも貴重です。第2番を1852年製エラールで、第3番を1846年製プレイエルで演奏、楽器はレプリカではなく最小限の修復のみで当時の状態を良好に保ったオリジナル楽器を使用しています。オフィシャルサイトで試聴用音源が公開されていますので、そちらも併せてご覧ください。(レコード芸術 特選盤


※リストのアルバムもレコード芸術特選盤


⇒【付録5】ショパンの時代の楽器を使ってショパンの全作品を刊行、ショパン・インスティテュートによる『The Real Chopin』シリーズ


 



6.ブラームスとベーゼンドルファーのピアノ

ハーディ・リットナー『ブラームス:ピアノ・ソナタ 第1番&第3番』(1849~50年製ベーゼンドルファー使用)

ブラームスが若いころに弾いた楽器として有名なのは、シューマンの家にあったグラーフのピアノ。この楽器はクララ・シューマン亡き後、ブラームスが引き取っています。(グラーフは晩年のベートーヴェンが好んだメーカーでもありました。)他にはシュトライヒャーやベーゼンドルファーのピアノを愛奏し、さらにクラヴィコード(!)を所有していたとか。

時代楽器によるブラームスの録音を進めているリットナーは、1840年代から70年代のシュトライヒャーとベーゼンドルファーを使い分けて、ふくよかな響きに満ちたブラームスを聴かせています。美しいウィンナー・トーンをお楽しみください。



※リットナーがエラールのピアノで弾いた《ブラームス:ピアノ協奏曲第1番》の録音もあります。詳しくは下の方をご覧ください。

 



いかがでしたでしょうか?作曲家や演奏家だけでなく楽器にも注目してみると、色々と面白い発見があるのではないでしょうか。「作曲家が生きていた時代の楽器で」というアプローチは、今やバロック・古典派だけではなく、ロマン派から20世紀初頭にいたるまで、幅広い時代の作品に対して行われるようになってきています。沢山のCDが出ていますので、ここに一例をご紹介します。下記【付録6】から【付録10】やページ最下部の「関連商品」も併せてご覧ください。


【付録6】推薦盤紹介~アンドレアス・シュタイアー 
【付録7】推薦盤紹介~トビアス・コッホ 
【付録8】推薦盤紹介~クリスティアン・ベザイデンホウト 
【付録9】推薦盤紹介~ロナルド・ブラウティハム 
【付録10】推薦盤紹介~ジョス・ファン・インマゼール

 



※スティリアニは「インヴェンション~」を調性順に並び替え、1910年製のプレイエルで演奏しています。ドラージュはコルトーより遺贈された1896年製のスタインウェイを使用(DISC1のみ)。晩年のコルトーが持てる全てを注ぎ込んだピアニストというだけあり、一聴してその非凡さが分かる演奏です。


【オススメ】オールトの『夜想曲集』はブロードウッド(1823)、エラール(1837)、プレイエル(1842)と3種の楽器を使用し、ショパンとフィールドの夜想曲全曲にカルクブレンナーなど同時代人の作品をカップリング。夢のような音色で至福の時間が過ごせるBOXです。(『Chopin & His Contemporaries』も夜想曲の部分は同内容です)


※ショパン&シューマン:ピアノ協奏曲集(オルガン伴奏版)はソロを1847年に製作されたエラールのピアノ、オーケストラパートを6人の奏者が3台のオルガン(こちらも1847年製)で演奏しています。思わぬ美しさに驚いてしまう1枚。



※コッホの弾くワーグナーは珍しいピアノ・ソナタが収録されているというだけでなく、1852年製のシュタイングレーバーを使用しています。シュタイングレーバーはバイロイトに工場を持ち、彼のピアノはワーグナーによって賞賛されました。硬質な音が特徴です。

 


【オススメ】ブラームスのピアノ協奏曲第1番を当時の楽器(1854年製エラール)で聴けるリットナー盤は貴重!ブラームスはこの作品の初演をエラールで行いたいと考えていました。エールハルト指揮のオケパートも刺激的です。



※ラヴェルは音楽史上1820年代を最良の時期と考え、自宅ではエラールのピアノを愛奏していました。一方ドビュッシーが愛したのはプレイエル、ブリュートナー、ベヒシュタイン。「ピアノ曲はベヒシュタインのためだけに作曲すべき」なんて言葉も残っています。

 

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